社長からのメッセージ

「創業160年目を迎えました」と言ったら、驚く方・そんなもんかと思われる方まちまちかな、と思います。安政3年、1856年焼酎・味醂・白酒の製造を始めました。これは日本酒業界においてはむしろ新しい方だと思います。以来、大正14年、1925年合資会社として法人化し、その後、昭和に入り、東京・横浜・大阪・広島・小樽・函館・室蘭と支店を開設してゆきました。また、昭和8年、1933年には、現在の瀋陽に「満州千福株式会社」を、青島に「東亜千福株式会社」を設立すると共に、長春・天津にも支店、あるいは出張所を開設しました。ところが、昭和20年7月1日夜半からの「呉の大空襲」により、ほとんどの施設が焦土と化した上、8月15日の終戦により、海外の資産もことごとく失いました。

戦後ゼロからのスタートを余儀なくされただけでなく、復旧資金に予定していた火災保険も戦時保証の打ち切りで、ほとんど支払いを受けることが出来ません。その上、大勢の軍隊からの復員者、満州・青島からの引揚者をかかえ、一時的に林業会社を設立したり、鯨の軟骨の粕漬けの製造販売・製氷の販売等を行い、これが復旧から発展への原動力となりました。その後は機械化等を推進し、昭和55年、1980年には紙パック入りの清酒「ふくぱっく」を、昭和57年、1982年には「生酒」を出すまでに至りました。
このように安政3年の創業時代より培われた「人の和」を基本理念として、それを会社を動かす原動力とし、絶対不可欠なエネルギーと考えています。また3つの柱を経営方針としております。

1.安全な品質管理 2.販売網の充実 3.合理化の推進

この3つは長年にわたり言われ続け、もしかすると言い古された感が有るかもしれませんが、どの時代においても大切な事だと思っております。「完全な品質管理」の「完全」と言うのはなかなか困難な事ですが、人が口にするものを造っている以上、より「完全」を目指すのが宿命です。平成13年11月8日、当社は品質管理・保証の国際規格「ISO9001」を取得しました。近年、醸造企業の間でもISO9001の規格に合致した品質保証システムを構築する動きが活発化しています。今回の取得により次のステップ、HACCP(ハセップ)取得への土台が出来たと考えております。

販売網の変化、つまりチャネルの変化は規制緩和に伴って大きく変化しています。ネット販売等の新たなチャネル、そして日本国内のみにこだわらない、その意味において販売網の充実を推進中です。但し、未成年の飲酒防止を忘れてはいけませんが。合理化の推進、今更こんな事とおっしゃられるかも知れませんが、これは常に現状に満足してはならない、という意味に捉えています。常に新たな事へチャレンジしてゆく精神を失ってはならない、ということなのでしょう。

最後に。私達は文化も伝統も大切にしつつ、技術革新とどう共生して行くかを模索しながら進んでいます。決して何れも否定されるべきものではない。私達の哲学の一端はそこにあります。

三宅 清嗣

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